正面像ってなんなのだろう。
何も考えず線を殴り描いていると気づけば正面の顔。
内側の他者の連作を私は愚直にひたすら正面から描き連ねた。
始めた時、どういう動作をしてるかとかそういう説明的なものを一切抜きにやりたかったし、
一番まっすぐでシンプルな中で描きたかったのかもしれない。
でもシンプルと思ったのは間違いで、正面像を描けば描くほど私はわからなくなっている。
老人というテーマは区切りとしても、人間の正面というところは卒業できそうにない。
動作がない中で何かを引っぱりだすということ。
もっと言えば、もしも人間の顔でもない手でもない、動作も表情もない
そんなところを描いて人間を描けたらそれって本当にすごいことだとぼんやり思う。