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ふりつもる線

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2008年 10月 24日

安定

個展に出す絵を今日はゆっくり眺めてみた。
絵を描く者にとってひとつひとつの絵は終わりでなく経過地点だ。
その経過地点として私にはこの試行が必要だったんだなと感じた。

今日はやたら安定、不安定という言葉を耳にした日だった。
高校時代の友人は結婚したり、赤ちゃんができたり、マイホームやローンの話も多く、
安定の中に幸せを見つけている。
でも残念ながら、日本でものを作りたければ安定した幸せはない。
絵を描きたい、でもある程度安定したい。そういう悩みや不安をしょっちゅう聞く。
バイトしながら制作するのはしんどすぎるから、就職してなんとか絵を描く。
絵は続けるけど彼女と結婚し、養っていきたいから定職につく。
そう言いながらも、やはりどんどん無理が生じ、絵をやめていく人を多く見ている。
ずっと無所属で制作すると言っていた人も将来を考えて、という理由で団体に入ったりする。
それを見て、時々ほんとに涙がでるほど寂しくなる。
元は皆ものを作りたくて美大に入ったはずなのに、現実の形而下的なことに
物事が取り替えられ、形而上的なことは二の次になっていく。
私は、絵と安定した生活の両立はありえないと思う。
かつて、同志社を中退し、絵描きになりたいと言った時、周囲の激しい反対と父親の猛烈な怒りを
私は幾分沸騰した頭ではあったけれど真剣に受け止めたつもりだ。
二つの真逆の道が目の前に伸びていた。
私は安定した幸せのあるであろうもうひとつの人生を捨てた。
迷いはなかったが、覚悟した。それまでの生活と訣別した。
小さなことだけど一枚一枚の服もぼろぼろになるまで着ようと思った。
はじめは欲しいもの我慢したりとかもあったけど、そんなことももうなくなり
この生活がとても幸せだと感じている。
まだまだ若いからできている所もあるかもしれない。でもとても自分らしい。
気がついたら、同じく安定してない人と結婚していたから笑える。
でも旦那が男だからとかで就職してほしいなんて思ったことない。
自分たちにとっては、安定というものが消してしまう火があることを知ったからかもしれない。
大切なのは10年後、20年後、30年後もそう思えているかどうか。

by ai-pittura | 2008-10-24 18:29 |


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