「のら」
真鍮網、陶土、和紙、墨、土性顔料、インク
のらがゆく。
のらがあるく。
ふりしきる雪の中をあるいていく。
描き終わってから、そういえば『のらいぬ』という絵本があったのを思い出した。
小さい頃何度も読んで大好きだった絵本だ。
じりじりとした夏の日に出会った少年とのらいぬの話だ。
ふつうだったら少年がのらいぬを家に連れて帰って仲良く暮らす話で終わるだろう。
その絵本はちがった。
まるでかつてからの友達のように、夏のきらめきを共にした後、
少年と犬はさらりとさわやかに別れる。また会えるよねと。
私のなかにも黒いのらいぬは棲んでいる。