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ふりつもる線

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2008年 10月 14日

氷山

実家の一隅に宮崎進さんの小さな絵がある。
絵の好きな両親がもうずいぶん前に求めたもので、
画面の左半分に白い女の人がぼんやり描かれていて、芒洋とした感じの絵だ。
私は昔、幽霊のようなその絵がとてもこわくて全然好きになれなかった。
特に夜ひとりでその絵に背を向けると、何かに見つめられているようで落ち着かなかった。
ずいぶん後になってから、その絵は宮崎さんが奥様を亡くされた頃描かれたものだと知った。
その時の宮崎さんの気持ちが、いまやっとすこしわかる。
個展のDMを配っている時、ちょっと怖いという声や死がテーマということにしんどいねという反応もあった。
やはり死というものは触れにくいものとして覆われていることを感じたりする。
私は生を思うように死を思いたい。
それが最後までじいじいとまっすぐ向き合うことでもあった。
ただ普通に、ものごとのありのままの姿が見たい。
一見、表面に見えていることというのはほんとに氷山の一角で、
海面の下にはその真相や本質が隠れていると思っている。
そこを見たいし探していきたい。

藤原新也のメメント・モリに「その景色を見て、わたしの髑髏がほほえむのを感じました。」
という言葉があった。胸の奥がざわっとした。
ずっと言いようのなかった感覚を藤原新也がことばにしてくれたような気がした。
自分の意識の中じゃなくてもっと深いところで何かがざわめくかんじ。
私の中にいる自分のしらない誰か。
それは死んだ祖父のそのまたずっとむこうの死者や祖先かもしれないし、
鳥や魚やミジンコやミカヅキモかもしれない。
私といううつわの中で自分という存在もまたきっと氷山の一角だ。
自分以外の要素や自分のルーツを私はとても知りたいし、だから旅をしたい。

by ai-pittura | 2008-10-14 00:09 |


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