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ふりつもる線

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2008年 09月 13日

酒がのみたい夜は

高田渡の『酒が飲みたい夜は』という歌が好きだ。
歌詞は石原吉郎の詩からとられている。原詩はこれ。いい詩だ。


酒がのみたい夜は/石原吉郎

酒がのみたい夜は
酒だけでない
未来へも罪障へも
口をつけたいのだ
日のあけくれへ
うずくまる腰や
夕ぐれとともにしずむ肩
酒がのみたいやつを
しっかりと砲座に据え
行動をその片側へ
たきぎのように一挙に積みあげる
夜がこないと
いうことの意味だ
酒がのみたい夜はそれだけでも
時刻は巨きな
枡のようだ
血の出るほど打たれた頬が
そこでも ここでも
まだほてっているのに
林立するうなじばかりが
まっさおな夜明けを
まちのぞむのだ
酒がのみたい夜は
青銅の指がたまねぎを剥き
着物のように着る夜も
ぬぐ夜も
工兵のようにふしあわせに
真夜中の大地を堀りかえして
夜明けは だれの
ぶどうのひとふさだ

        詩集<サンチョ・パンサの帰郷>から
        『現代詩文庫26 石原吉郎詩集』〔思潮社)所収
               
               

by ai-pittura | 2008-09-13 22:12 | 風景


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