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2008年 08月 18日
もう水一滴すらお腹に入らないほど食べて飲んだあと、みんなで銭湯に行こうということになった。 銭湯は昔から大好きだった。 おじいちゃんの家に泊まりに行ったら、夕方、おばあちゃんと三人で近所のあさひ湯に出かけた。 「おじいちゃーん、そろそろあがるー?」「よっしゃー、外で待ってんでー。」 男湯の方から返ってくる祖父の声とわーんとした反響が今も耳の中にある。 京都で旦那と同棲しはじめた頃、冬は時々銭湯に行った。 普通のお風呂がついた今の家に越してきてからはまだ行ったことがなく、 百万遍の東山湯に行こうという話になった。 昔のままのつくりで、四枚羽根の扇風機があって、マリリン・モンローやジョンとヨーコ、 七三分けの演歌歌手のポスターなんかが貼ってあっていい感じだった。 シャワーも据え付けでホースがないタイプ、 「洗濯をしないでください」「シャワー出しっぱなし厳禁!!!」マジック手書きの張り紙も 埃をかぶった造花もなつかしい。 やっぱりいいねといいながら風呂場に入り、体を洗おうと腰掛けた私たちの所に 突然すごい形相で突進してくるおばちゃん。 眉をつり上げものすごい剣幕で「誰のやと思ってんのよ!人様のもの勝手にとっ○▲*#・・・」。 どうやら洗面器のことらしい。 間違えて使おうとした私たちが悪かったが、おばんの洗面器は銭湯備え付けのものと 同じに見えたし、ぜんぜん違いがわからなかった。 ぽかんとする私たちからすごいいきおいでおばんは洗面器をひったくり、悪態をつき、 振り返りながら水風呂の方にドスドス歩いていった。 一瞬言い返そうかとも思ったが何かおもしろくなってしまった。 銭湯にもいろんな特徴がある。 うちの地元は同じ湯につかればすぐに会話がはじまる。年寄りだろうと若かろうとあんまり関係ない。 常連同士は体調のことを気遣いあったり、家庭内の愚痴を言ったり。 裸になればいつもより饒舌にもなる、そういう感じがあった。 前に行っていた京都の蓼倉湯はおばあさんが多かった。でも 話をしている人もそんなにおらず瞑想の湯みたいな感じだった。 この東山湯はつり眉おばんがどうやら常連のドンだ。 それに付き従うコバンザメみたいなおばんもいて、ずっと怒った彼女の機嫌をとっている。 他にも常連が多そうだった。皆おばさんだ。たぶん常連同士の縄張り争いもある。 脱衣場で別のおばんも「誰かが私のものわざと使って・・・」と延々話していた。 まぁ、銭湯におけるいざこざの原因ナンバーワンは洗面器(などの間違い)にあると言えるが ここまでそれが如実に出ているのも可笑しかった。 もうひとつ、銭湯のおもしろさはいろいろな年齢の女性の様々な体を見られるところにある。 そこにそれぞれの人生が刻まれている。 先日3、4年ぶりにヌードクロッキーに行った。 モデルはやはり若くて均整のとれたプロポーションの人が多い。 描いていると確かに女性から見ても崇高な美にはっとする。 でも私がほんとにわくわくするのは銭湯で見るおばちゃんやおばあちゃんの体だ。 そこに紙と筆がないことがどんなに悔しいか。 私は目でその線を追う。 おなかに届きそうな胸とか、太腿との境目がわからない象のようなお尻とか 弛みと皺でとても一筆描きできない体のラインとかガニ股気味の足とか・・・ それを人は醜というかもしれない。 しかし、そこには生身の人間の風景がある。 人生の実感のようなものがあり、私はしみじみと見とれてしまうのだ。
by ai-pittura
| 2008-08-18 12:05
| 人間
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