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ふりつもる線

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2008年 08月 01日

わたしのチェリー

わたしのチェリー_b0080173_2035317.jpgはじめて一緒に暮らした動物はチェリーという犬だった。
家に来た時はほんとうにちいさくて、大人の片手のひらに
おさまるくらいの大きさだった。
貰い手がなければ死ぬところを両親がひきとってきた。
チェリーには同じ時にうまれた兄弟もいた。
そこには他にもたくさんの犬がいたが
結局そのほとんどが殺されたのだと思う。
突然家に来たうす茶色のちいさな毛むくじゃらに
5歳の私はいちばん好きな食べ物の名前をつけた。
少し経ったある日、母親と離れた不安からか
チェリーは突然弱り、ほとんど何も食べなくなった。
必死に看病して、みんなもうダメだと思ったが、死の淵から奇跡的に回復し、
最後は16歳まで立派に生を全うした。
チェリーには大して何もしてやれなかったが、ひとりっこの私にとっては兄弟みたいなもんだった。
最後の方は、少しずつ目が見えなくなっていった。
本当に近くにいくまで私が傍に行っても気づかなくなった。
足ももつれてうまく歩けなくなった。目ヤニで目が開かなくなり、毛もパサパサになった。
少しだけ私が手にすくった牛乳を舐めたが、無理矢理口に何かいれようとしても
かたく口を閉ざし、すこし怒っていた。
最後の最後まで誰に甘えることもなく、毅然とした態度でチェリーは逝った。
その最後の数ヶ月は私の中に大きなものを残した。
いまも、実家の片隅にいちばん愛したチェリーの写真を置いている。
元気だった頃の写真ではなく、よれよれに老いて、しかし決して弱さを見せず凛としていた死ぬ前の写真だ。
じいじいを描いては消し、どんどん黒くなっていく画面を見ながらいろいろ考えていて
ふとそんなことを思い出した。

上の写真は小学校2年生のときに描いた絵「わたしのチェリー」。


わたしのチェリー_b0080173_20545553.gif

by ai-pittura | 2008-08-01 21:26 |


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