ひさしぶりに高田渡を聞いていたら、貘さんが読みたくなって詩集を手にとった。
貘さんがもし近所に住んでいたら、毎日この人のところに遊びにいってただろうなと思うような人だ。
山之口貘、沖縄生まれ。20歳で上京、家業の倒産、それから20年近く畳のうえに寝たことは一度も無く、
書籍問屋・暖房屋・お灸屋・汲取屋・ダルマ船などいろんな職業を転々とする放浪生活の中、詩をつくる。
三線と泡盛を愛した人だ。妻そして娘がひとり。
沖縄のことや戦争のこと、何より多い詩は家族のことや貧乏、放浪生活の中から出てくる詩なのだが
彼の詩には白熱灯の下のぬる燗みたいなしみじみとしたよさがある。
人間くさく愛すべき人だったんだろう。
貘さんの詩ではやっぱり『
ねずみ』が好きで、高田渡さんの歌つきだと『
生活の柄』がいい。
貘さん本人が一番愛したのは『座蒲団』だったそうだ。
座蒲団
土の上には床がある
床の上には畳がある
畳の上にあるのが座蒲団で
その上にあるのが楽といふ
楽の上には
なんにもないのであらうか
どうぞおしきなさい
とすすめられて
楽に座ったさびしさよ
土の世界をはるかに
みおろしてゐるやうに
住み馴れぬ世界が
さびしいよ