



昨年、ミラノにロンダニーニのピエタを見に行った。
待ち望んだ対面だった。
でも、実際その前に立った時、あまりに大きすぎた期待のためか実感を持てなかった。
もちろん心は大きく振れたのだが。
しかし、それから日本に帰り、時が経つほどにその痛みが奥深く刺しこんでくるようになった。
自分の器をはるかに超えるものを見た時、
その理解はずっとあとからやってくるのかもしれない。
ロンダニーニのピエタはミケランジェロの遺作となった。
23歳にして作った驚愕のサン・ピエトロのピエタから4作目のピエタ。
視力も体力も衰え、死の間際までノミをいれながら、
ミケランジェロは何を思っていただろうか。
その尊さに私は敬意を表さずにいられない。
今、その遠さを知りながら60cmほどの板きれにロンダニーニのピエタを描いている。
もう完成に近い。
がらんとした夜、画面に向かっていた時、耳の奥でノミの音を聞いた気がした。