
一年前に友人からもらったユリをデッサンしたものを見つけ、
ふと絵にしたくなった。
荒木経惟が撮った枯れたユリの写真にいいものがあったように記憶している。
私にとってユリの枯れすがたはなぜかひときわ美しい。
ユリの語源は「揺り」と言われているが
花びらは白い鳥の羽根のように、
あるいは白いさざ波のようにちぢれて揺らぐ。
万葉集にも多く詠まれてきた「忘れ草」とはユリ科萱草のことであり、
この花をもっているとつらいことを忘れられるという。
山奥で思いがけなく咲いている一輪のユリに出会った時、
そこだけが白く、あかるさびしかった。
人しれず。ユリは自分の美しさを知らない。
雲雀たつ
あら野におふる姫百合の
なににつくともなき心かな
(西行 山家集)