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ふりつもる線

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2007年 03月 28日

血と骨と肉

イタリア人Tが6ヶ月の滞在予定で再び日本に戻ってきた。
滞在中は日本語学校に通うので、学生ビザで来た。
住むところは日本語学校の斡旋するマンションらしいのだが、
来て早々、日本人勤労者の保証人を立てなければいけないようだ。
日本語学校の方も同じく保証人が必要で、幸い以前日本でホームステイしていた彼は
そのホストマザーに保証人になってもらうことができそうだが、
もし日本に誰も知り合いがいなくて、日本語のできない外国人ならどうするのだろう?
外国人登録証明をもらうための書類も日本語で書かれていたし、役所手続きも難しいだろう。
イタリアのビザも年々厳しくなる一方で、大きな難関だが日本もやはり閉じた国だと改めて思う。
Tは高校生の時に読んだ古典文学から日本への想いを強くし、
イタリアの大学で日本語を学び、京都に留学した。
日本文化に大きな敬意を表しているTだが、一旦イタリアに帰国して、
今までは見えなかった角度から自国を見られるようになり、
自分の血に流れるイタリアを強く意識し始めたと言っていた。
それは短期留学ながらに私も同意見だった。
自分が生まれ育った国というのは血であり骨だと思う。
ただ異文化の中に身を沈めることはある種の危険を孕むデリケートな状態でもある。
日本で常識だと思っていることが常識として受け入れられる訳ではないし、
これまで無意識に普通だと信じ込んできたことが他文化の中では異常だったりする。
社会における便宜上、滞在中180度考え方を変える必要を迫られる場合もある。
自分の中に秩序立って積みあがってきたものが一度崩され、
普通や常識というものは存在しないことを教えられる。
そしてそこから自分の中で必要なものとそうでないものを篩い分けていく作業が始まる。
実はこの作業は大変だが、とても楽しいものであり、ゼロから自分を問う機会だ。
そして、この時に篩の中に残ったものは本当の意味で肉となって、ずっと一緒に歩んでいけるものだと思う。
私が一ヶ月以上の滞在をした国はイタリアだけだが、過去に旅を通して
フランス、ドイツ、スペイン、オーストリア、スイス、リヒテンシュタイン、
サンマリノ、カナダ、シンガポールの文化に数週間だけでも触れることができたのはいい経験だった。
こうして並べてみると明らかにヨーロッパに偏っており、今後はアジア、アフリカも歩きたい。
これは私にとってどうしてもやるべきことだ。お金や時間がなくとも。


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by ai-pittura | 2007-03-28 19:29 | イタリア


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