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ふりつもる線

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2006年 12月 03日

ノミの音

今、私は彫刻の作業場の一隅で制作している。
ちかくには木彫や石彫をしている人がいる。
槌で叩いてノミを入れる時の、規則正しいリズムは
心地よさと緊張感をもって
私を絵に向かわせてくれる。
木はこんこんというあたたかい音。
石はキーンキーンというきびしい音。

私は4年前、半年間だけ彫刻コースに留学した。
その頃、途中から絵の方がやりたくて
不真面目だったけど、今その音を聞いて
楠にノミを入れていた時の気持ちがよみがえった。
チェーンソーで切った瞬間、木が生々しく放った匂いは
「森の香り」なんていう安らぎとはほど遠く
もっとどぎつい叫びのようなものだった。
木が生きものだということをその時はじめて
強く実感した。
そんな木にノミを入れていくという重さ。

木や石や土に直接触れている彫刻や陶芸の人たちは
自分の思い通りにばかりはいかない素材に対して
特別な愛着と敬意、そして独特のきびしさを
もっていると思う。
素材に対するそんな感覚を
絵を描いてる私も忘れちゃいけない。
ぬくぬくした部屋でなく、冬の温度を感じながら
制作していると、そんなことを思い出させてもらい
背筋が正された。

by ai-pittura | 2006-12-03 22:19 |


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