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ふりつもる線

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2006年 07月 26日

私が出会ったおじいちゃん

昨日のおじいちゃんだけど、絵を描こうと思ったのははじめてだそうだ。
今まで絵を時々描いていた訳でもなく
子供の頃ぶりだって。
ものをつくるって作りつづけてきた時間じゃなくて、
どうやって生きてきたってことなんだろうなぁ。
それは結局作りつづけてきたってことなのだろう。
改めて教えてもらった。
生活の全てにおいて自分が試されてることを感じる。

素敵なおじいちゃん、と言えば忘れられない人が何人かいる。
その一人を紹介したい。 

「イタリアにこんな諺がある。
『Chi va piano va sano e va lontano』
(急がずあせらずゆっくり歩む人は より遠くへ辿り着く)
 仕事の上では孤独との戦いでもある。強い忍耐力とか意志、勇気、決断力等は、
 彫刻を続けている間に身につくものであり、苦難に負けず途中で止めない者のみが
 彫刻家になれるのだと思う。経済的には最低の生活を維持しながら、人類に貢献できる
 最高の創作活動をしている誇りを忘れないで欲しい。この真の芸術家の精神のみが
 現代社会を救える唯一の道だと信じている。」

これは、以前大学に話をしに来てくださった在ミラノ、彫刻家、吾妻兼治郎さんの言葉だ。
吾妻さんは、あのマリノ・マリーニが死ぬまで助手を努め、
その後もイタリアで彫刻を続けている。
わりと小柄なおじいちゃんだった。
「苦難に負けず途中で止めない者のみが・・・」からのくだりを読むと
あの講義の時の、吾妻さんの風景の記憶がよみがえり、胸がつまる。
思えば、その風景に何度か励まされてきた。

そしてイタリアでの長い生活を振り返り、
「日本人の作家であるために西洋を勉強することはもちろん必要であり、
 模倣や追従ではなく、急がず流行を追わず、
 自分自身と真理の追究に努力して歩く廻り道は決して無駄ではなく、
 廻り道をしながらの求美活動こそが芸術家の本道かもしれない」
と言っていた。

by ai-pittura | 2006-07-26 19:19 |


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