
11月、心にのこったのは伊藤久仁子さん(毛織敷物)と森口信一さん(木工・我谷盆)の
展覧会。
暖簾をくぐって、一目見た瞬間、ため息をつく。
羊、山羊、らくだやヤクの毛、そして絹や麻で織られた重厚な織物。
じいっと見ていると大地が胸に押し寄せてくるようで、たまらない。
どんどん触って、敷物のうえを歩いてみてくださいね。
工房のいづみさん(いづみさんのお師匠さんが伊藤さん)が声をかけてくださる。
お言葉に甘えて、しつこいくらい触り、大きな敷物を足の裏で何度もたしかめる。
それぞれにかたさや柔らかさが違い、(温度も違う感じがする)
きびしい原野を生きるものたちの根や、母なる海のようなあたたかさ、乾いた大地を吹き抜ける風が
豊かな奥行きをもって伝わってくる。
ああ、こんな敷物と暮らせたらどんなに素敵だろう。
それはまだまだ叶わないけれど、そのかわり一枚のお座布団を家にお迎えすることにした。
光にかざすと、ザクロやカリヤスで染められた黄色の階調が素晴らしくきれいだ。
樹々が落とした葉でふかふかになったお山の道や、晩秋の光、
ゆっくりと土に還ってゆく森の時間がそこかしこに織り込まれているようで、あたたかい気持ちになる。
帰り際、見送ってくださったいづみさんの陽だまりのような笑顔と、伊藤さんのまっすぐな眼が
いつまでも胸に残った。
展覧会を教えてくださったりかさん、ありがとう!!
お座布団が家に来て2日と経たぬうちに、占有権はだれかさんの手に。