Tさんから
Richard Avedonの肖像写真集 ”Nothing Personal”を見せてもらう。
めくるページが後ろに近づくにつれて、何かがぐさりと胸の真ん中に刺さっていく。
なんという描写力だろう。
大統領
女優
子ども
老人
ナチスの党員
原爆を投下したパイロット
花嫁と花婿
精神病院の患者
妊婦とそのパートナー
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あらゆる立場の、無垢な、そしてくぐもった、時に獣のような顔の人々が克明に写し出されていた。
他者を見ていたはずの目はいつしか自分を見る目となった。
そこにいる人々はどれもが自分の一部にも思える。
そして撮られたそれぞれの人のなかにもすべての人が棲んでいる。
ただまっすぐにものを見る。
彫り込むように
目の前のものを見つめること。
視覚にとらわれるのではなく、
目の前に表出しているものから切り拓いていく。
彫刻家が両手で顔の起伏をたしかめてゆくように。
家に帰ってAvedonのホームページをすこしずつ見る。
肩をぐっとつかまれたように力が湧く。