
個展のあと、いつも無性に旅に出たくなる。
きっと両手いっぱいに抱えて帰ったおおきな何かを、自分なりにゆっくり消化するために
ただ もくもくと歩く時間が必要なのだと思う。
北飛騨の森は、秋の透明な光に照らされて、さざめくような色の渦。

平日の森は行き交う人もほぼ無く、
おおきく深呼吸すると 静寂が胸のなかに満ちて
森の空気がつまさきから頭の上まで降りつもってゆく。

標高1400mの高層湿原。
※ふつう湿原とは枯死したミズゴケが分解されず、泥炭となり水を含んで過湿となった場所を言うのに対し、
高層湿原は泥炭が蓄積されて水面より盛り上がった湿原で、主に雨水で水分が維持されている。
そのため低栄養で氷河期の依存種など貴重な動植物が生息する場合が多い。






葉をおとすもの
朽ちゆくもの
分解するもの
保持するもの
産まれるもの
育むもの
人もまたその循環の一部であることに ふかく安心する。

トチの巨木。

巨人のようなカツラの門。
東京から帰って、
シェルマンで求めた復刻CDをもう何度リピートしただろう。
頭に住みつきはじめているカザルスのチェロが
森の光のなかで、樹々の間を縫い、錦繍の山をすべりおり、雲のまわりを駆けていた。
Tさんが連れていってくださったシェルマンもまた、深い森のようなところだった。
この日は4時間半歩く。標高差は約450m。
ザムストのサポーターをつけて初めてのトレッキング。
サポーターはかなり安定感があり、違和感が出るのが遅い。
下りでやはり膝に違和感と痛みが出たが、予想以上に歩くことができて感動した。