
友人たちと奥山の川のそばで火を焚く。
新月の夜、辺りはすこしずつ静かな闇に包まれる。
火の粉はまっすぐ空にあがり、星になっていく。
杉の葉をいれる、次の瞬間火は一気に燃え上がり、辺りを明るく照らす。
杉の葉の燃える匂いは、死者や埋葬ということを思わせる。
とても懐かしい、遠くで蝉時雨がきこえるような。
火という漢字、炎という漢字、
その漢字をつくった遠い人が、今隣にいる人のように感じる。
野営の夜は何をするでない。
ただ火を見つめ、それぞれがぽつぽつと話をする。
漆黒の闇に ただ火だけがある。
人は火からはなれて生きてはゆけない。
森羅万象、火も また人も。