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ふりつもる線

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2012年 10月 16日

林檎の日

林檎の日_b0080173_22153756.jpg林檎の日_b0080173_22154018.jpg

秋の日、マツイさんとヨシダさんから立て続けに林檎をいただく。
どちらも長野の林檎、それは秋の空気のなかできらきらと光って、
まだ少し青みの残るものから、毒々しいほどの紅いものまで。
それぞれあまりにうつくしくて、撫でまわし、並べ、積んではまた撫でて、
匂いを胸の奥まで吸いこんだ。
先月、長野を発つ日の夕方、ヨシダさんが
「これを見て帰らなきゃ。すごいきれいやから!」と走り抜けてくれた小布施の林檎森は
それはそれは嘘みたいにきれいで、
林檎の木ってこんなにもうつくしいものだったんだ、と目の覚めるような思いをした。

林檎と言えば、美術予備校時代、デッサンですごく苦労したモチーフのひとつだった。
林檎から感じるあの感覚を、匂いを、全然画面にあらわすことができなかった。
自分のデッサンがあまりにつまらなくて、悔しくて何度も何度も描いた。
それでもダメで、消沈していた私に、高垣先生はものを「見る」ということについて
じっくりと考える機会をくれた。
描くことの前に、林檎をもうすこし自分なりに知ること。
そもそも林檎はなぜ五角形のようなかたちをしているんだろうか。
そのなかで、私は五弁の花びらを持つ林檎の花を知った。
そして少しずつ実になっていく様子を想像した。
緑の木に鈴なりになっている紅い林檎を思い描いた。

少しずつ林檎に近づくことができるようになった。
懐かしい、思い出深いモチーフ。





林檎の日_b0080173_22431565.jpg林檎の日_b0080173_22433236.jpg
ジャムを煮るというのはなんと幸福な行為だろうと思う。
鍋の前に立ちながら、コトコト煮るのが大好きな私にとってはたまらない。
時々蓋を開けた時に立ちのぼる甘酸っぱい匂い、木べらでまぜる度に透明な黄色になっていく果実、
そして煮だした皮から出る薄紅色。
それは林檎森で感じたのと同じ、神秘にふれるような時間。

by ai-pittura | 2012-10-16 22:50 | 仰木の暮らし


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