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ふりつもる線

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2012年 06月 08日

野宿の夜に

5月も終わりの週末、山間の川沿いで野営をした。
友人が教えてくれたとっておきの場所だ。

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わこちゃんからは敦賀の貝づくし、ゆいからはフンパツワインの差し入れ、
そしてりかさんからいただいた薫製ほっけや鮭トバ、おつまみセットはこの日のためにとっていた。
みんな本当にありがとう。
一年分くらいのおいしいものをたらふく食べ、昼間からよく呑んだ。

夕暮れ、
日帰り参加のわこちゃんは家に帰り、ゆいは酔いつぶれてテントで眠り、
あたりは急にしずかな空気に包まれた。
杉の燃える匂いがとてもしずかで、それは人が火を焚くという古くからの行為に寄り添っているようだった。
りんごを火にくべる。
香ばしい香りと共にとろとろに甘くとけた果肉が口いっぱいに広がった。

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山の夜はあしもとからひたひたと、影が忍びよってくるように、
墨の粒子が少しずつ積もっていくようにふかくなっていった。
空はまだ21時でも青みがかった灰色で、白い星が瞬いていた。



野宿の夜に_b0080173_19182482.jpg
そのうち1m先も全く見えなくなり、距離感がなくなった。
ろうそくに火を灯す。
あしもとだけが小さく明るい。
と、真っ暗な川の対岸の崖から小枝が折れるような音がして、何らかの動物の気配を感じた。
目をこらしても見えない。でも確かに何かがいる。
何の動物だろうか。
寝袋にもぐりこみ、横になって目を閉じると、様々な音がよりハッキリと聞こえはじめた。
幾種類もの鳥の鳴き声、葉擦れの音、川のながれる音、カジカの声、そして何とも言えない奇妙な鳴き声が
ずっと聞こえている。
それはひどく高音で金属をたたいた時の余韻にも似た音でキーンともヒーンとも聞こえ、
夜を裂くようにもの哀しい。
動物の声には間違いないのだろうけれど、なぜか全く鳴きやむことがない。
その時、テントの後ろの方でも小枝の折れる音と落ち葉を踏み、何かが歩きまわる音がした。
音から想像するに、ある程度大型の動物、たぶん鹿だろう。
全神経を集中させながら、牙も爪もまるくなり皮膚もむき出すようになった人間という頼りない生き物の
進化の不思議をじっと考えずにいられなかった。
山の文脈のなか、つるつるとした身体であって、夜目もきかず、二足の足で
他の生き物より著しく動きも感覚も鈍い自分はいささか心細い。
でも、ある種の恐怖と同時に、
自分はこの山のなかで猿や鹿と変わらぬ、ただ一匹の生きものであるという実感が胸をついた瞬間、
涙が流れそうなほど感動している自分がいた。



※帰ってから奇妙な鳴き声について調べた。
声の主はなんとトラツグミという鳥だった。

体長は30cmほどでヒヨドリ並みの大きさ。頭部から腰までや翼などの体表は、
黄褐色で黒い鱗状の斑が密にある。体の下面は白っぽい。
嘴は黒く、脚は肉色である。雌雄同色である。
主に丘陵地や低山の広葉樹林に好んで生息するが、林の多い公園などでも観察されることがある。
食性は雑食。雑木林などの地面で、積もる落ち葉などをかき分けながら歩き、
土中のミミズや昆虫類などを捕食することが多い。冬季には、木の実も食べる。
繁殖形態は卵生。木の枝の上に、コケ類や枯れ枝で椀状の巣を作り、4-7月に3-5卵を産む。

さえずりは「ヒィー、ヒィー」「ヒョー、ヒョー」。地鳴きは「ガッ」。
主に夜間に鳴くが、雨天や曇っている時には日中でも鳴いていることがある。

森の中で夜中に細い声で鳴くため鵺(ぬえ)または鵺鳥(ぬえどり)とも呼ばれ、
気味悪がられることがあった。
「鵺鳥の」は「うらなけ」「片恋づま」「のどよふ」という悲しげな言葉の枕詞となっている。
トラツグミの声で鳴くとされた架空の動物はその名を奪って鵺と呼ばれ
今ではそちらの方が有名となってしまった。〈wikipedia〉

by ai-pittura | 2012-06-08 20:55 | 山へ


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