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2011年 09月 27日
あっという間に駆け抜けていった9月の日々。秋はいつも突然爽やかな風を連れてくる。 夏にはまだやり残したことがたくさんあるようで、 夏女の私にはいつもどこか淋しくなる季節。 入道雲は鰯雲へ、そして光の中で黄金色に輝く棚田は 通る度に息をのむうつくしさだった。 今はもう稲刈りもほとんど終わり、刈られた稲株が整然と並んだ田んぼは もう冬景色を彷彿としてやっぱり少し淋しくなる。 9月は"海"の大作に取り組んでいた。 それから阿蘇や神戸の個展のためのDM制作。 久しぶりに日夜コンピューター相手にうんうん唸っていた。 同じ世代のなかではかなりアナログ人間。 9月に見に行った展覧会。心にのこっているもの3つ。 ●諏訪敦展『どうせ何も見えない』@諏訪市美術館 長野まで日帰り弾丸ツアー。 亡き人を描いた『恵里子2011』、デッサンやブラウス、義手など制作過程を含め見ることができてよかった。 個人的主観だが、諏訪さんの描く絵というのは絵によって全く異なるものを感じる。 あくまで特定のその人(対象のモデル)を感じさせるもの、モデルの個を超えた普遍性や仏性を 感じさせるもの、諏訪さん自身の対象との密な関わりや個人的なものを感じさせるものなど様々で 諏訪さんという人がどういう人なのか興味をもった。 日が過ぎて、一番印象にのこっている絵は自分でも意外なことに、彼が愛猫を描いた 『Campanilla』という絵だった。私も猫と生活を共にしていることもあるだろうけれど。 猫というのは時々驚くほど不思議な顔をすることがある。 言葉にし難いが、まるでこの世界を包みこむような、優しさでも哀しみでもなく、 私たちを赦してくれてでもいるようなただ透きとおった瞳、 そんな眼差しの片鱗がその絵には宿っていたような気がした。 初版はもう残り少ないという彼の画集には、小金沢智さんが文章を寄せていて、 小金沢さんらしい切り口は絵の可能性をより広げていくような非常に面白いものだった。 Iさんとの車中での会話含め、人間という不可思議ないきものについて、 そして人と人との関わりについてただただ思いを巡らせていた。 ●Alessandro Nutini展『心象風景ー万物流転』@Petit Bois アレの待望の展覧会。 彼が描きためた風景の連作が並ぶ空間は、初冬のような背筋正される静寂が漂っており じっとその中にいると次第に遠くに森の匂いがするようだった。 その風景はほとんど実在するものではなく、彼の内からでてきたものとのことだったが トスカーナの大地や彼の暮らす家から望む風景のエッセンスが掬いあげられており、 それは見れば見るほど触覚的にじわじわ染み渡っていくようだった。 アレの絵は寡黙であるが故に、鏡のように見るものの内をそこに映す。 そして揺れ動くその向こうに変わらないものを教えてくれる。 我が家のいちばん好きな部屋に、アレの絵を飾っている。 毎日アレの絵がそこにあることがうれしい。 私たちふたりの心しずかにさせてくれる絵。 ●高垣リミ展『夕焼けのブラフマンにのって』@gallery maronie 木彫のカメレオンたち、木に布をはりあわせたキリン、 そして今回の個展は木や革に漆を塗った牛やカエル、ヤモリ。 リミさんのつくるものはあたたかい。おおらかで、そして一滴の涙にも似た母性。 それはやっぱりリミさんそのままだなあと思う。 思いがけずリミさんと木屋町の沖縄料理赤ひげで晩ごはんを食べることになり、 久しぶりにゆっくりお話できたことがとてもうれしくて。 リミさんとの時間、帰り道は温泉のあとのようにいつまでも身体がぽかぽかしているようだった。 最近、リミさんのカエルとヤモリも我が家にやってきた。 それはずっと前からここにあったように、木の古道具たちのなかによく馴染んでいる。
by ai-pittura
| 2011-09-27 00:42
| 絵
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