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ふりつもる線

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2011年 07月 18日

かくれ里

奥琵琶湖の菅浦というところに友人が連れていってくれた。
琵琶湖というのはさすがに大きいこともあって、その周辺は場所によって空気が全く違っていつも驚いてしまう。
湖北には特別に澄んだ空気がある。
入り江は浸食されたような細かい弧を刻み、湖岸によりそうように集落が点在している。
山がすぐそこまで迫っている為か、山と湖はかぎりなくひとつに結ばれ、
家々はその揺籠に眠っているかのようだ。
集落はどこか漁村の風情があり、私はいつも瀬戸内や伊根の海と家屋を思い出す。
菅浦はその奥琵琶湖のなかでも独特の場所、と友人が言った通りに
周囲の集落から完全に孤立して、山なりの入り江にひっそりとかたまって佇む菅浦集落は
まるで時がとまっているかのようなうら寂しさと共に
どこまでも静かで、ふるくから流れるうつくしい響きのあるところだった。
浜辺に座って、沖の竹生島をぼんやり見ていると湖面の波と共に自分がゆっくり流れている感覚になった。
帰り道、滝のような雨のなか、車で琵琶湖の西岸を南下していくといつの間にか
澄んだ気配の代わりに穏やかさが濃くなっていくのを感じながら家路についた。
岩手の遠野を訪れた時、こもりくという言葉の意味をはじめて身体で受けとったような気がした。
奥底になつかしさにも似た小さな痛みが走るような。
菅浦もまたそういう場所だった。

かくれ里_b0080173_22164641.jpg
写真を撮り忘れたので奥琵琶湖観光サイトより

by ai-pittura | 2011-07-18 22:19 | 風景


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