



春子おばあちゃんの水彩。
デッサンをはじめてから試行を重ね、いつのまにか画帳も7冊目くらいになっただろうか。
大好きなモディリアーニを模写することも多く、それでもやはりおばあちゃんらしい絵になるなあと思う。
色をつける前にいつも、そうねえ、顔はオレンジがいいかしら、服はグリーンね、といろいろ考えている。
冬はすこし元気がない日がつづいたが、最近おばあちゃんはとても調子がいい。
目をつぶっても、絵のことを考えはじめたら眠れないらしい。
ギネスブックにのるくらい長生きしたいの、と。
日々変化しつづける97歳。
きょうこそ真実に一歩近づくことができるだろう
試みること それがすべてだ
家への帰り路、白い霞のベールを纏う圧倒的な山々を横目に私は
ジャコメッティが遺したいくつかのことばを断片的に思い出していた。
未知のこと、それは底に埋もれた既知のことを掘り探っていくことでもあって。