

田に水が入る頃、新緑がぐいぐい芽吹き、あらゆる生き物たちが活発に動きはじめている。
田んぼは蛙の大合唱で、夜の道路には飛び出してきたトノサマガエルがヘッドライトに照らされ、
轢きやしないかとヒヤヒヤの運転。
用水路ではサワガニの一族がぷくぷくとちいさな泡を吹き、
ツバメは巣作りの場所探しに忙しく、ウグイスが一段と上手くなった歌声を披露する。
かわいいものばかりではない、ムカデが立て続けに2匹出た。
靴を履く前にはムカデがひそんでいないか確認した方がよいかもしれない。
一雨ごとに草花の生長は著しく、あっという間に庭と畑を飲みこまんばかりの勢いに
せっせと雑草抜きをするもなかなか追いつかない日々。
そのなかで私はただの一粒の人間。
ここに来て、そして震災のことを受け、たしかに変化しているのは
あらゆるものがそれを取り巻く空間のなかに存在している、ということを強く感じるようになったこと。
あたりまえなのだけれど。
今までは、〝もの(こと)〟の放つ空気感やそこからにじみでるものに惹かれていた。
最近は、空間、場のなかにある〝もの〟、〝もの〟を取り巻いている世界が気になっている。
絵を描く意識が変化してきている。
実は、前者も後者も同じこと。
しかしその意識を両眼にもつことはなんと難しいことなのだろうか。
写真左:サワガニに初めて出会ったタガネ
写真右:ニホンヤモリ。この後タガネに襲われたが尻尾を自切して見事逃げのびた。