

庭にちいさな畑をつくった。
そして花とハーブを植えた。
母がくれたコツラ・バルバータ(花ほたる)、アネモネ、ムスカリの球根、ジャスミン、
ハーブはハーブ博士の
デンさんの苗。
ホワイトベルガモット、アーティーチョーク、フローレンスフェンネル、オレガノ、
ローズマリーはトスカーナブルー、イタリアンパセリ、ロケット、セントジョーンズワート、
それからお隣のミズエさんがくれた韮と水仙の苗、名前がわからない株、タガネのために猫草。
苗を植えて土をさわっていると涙がでる。
ここに草木花が育つ土があること、そしてハーブ達がもう少し大きくなったら私はにこにこと胃に納めること。
うれしくて畝の間を何往復もした。
次の瞬間に哀しみが突きあげる。
それが一瞬にして摘みとられ得る私たちの暮らし。
原発の事故は本当に酷く、惨い状況をもたらしている。
そして原発は、払いきれない代償を伴ったあまりにわかりやすいたとえでもあり、
いま全員が直面している切迫した問題だが、そのことは原発に限ったことではない。
あまりに奢りをもって生きてきた人間。
どうしようもなく不完全な生きものでありながら
生かされていることすらすぐに忘れてしまう。
名もない草が一気に芽吹いてきた春めく庭で、そのことが殊更浮き彫りになって。