
外で描くことはできないけれど、室内で雨をきくのもいい。
数日、芍薬を描いていた。アトリエに一本の芍薬があるだけで空間は揺れ動く。
小惑星のような蕾から零れるように花が咲いて、最後すべての花弁が落ちるまでの変化を見た。
どの瞬間もそれぞれにうつくしい。
そういえば美大に入ってはじめての岩絵具制作が芍薬で、同じように毎日見続けたけれど、
とりわけ枯れた芍薬に惹かれていたことを思い出した。
“生け花”は自然を切りとってきて、
つまり不自然ともいえる状態、それをもう一度自然にかえそうとする行為という話を
聞いたことがある。
よくわかる気がする。
芍薬はただそこにある。
私は私という存在を通して芍薬を認識している。
私は絵を描き、見つめつづける中でただそこにある芍薬にかえそうと試みている。
つまりただの自分に。
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イタリア旅行記もちょっと更新。