人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ふりつもる線

aipittura.exblog.jp
ブログトップ
2009年 12月 24日

無名の音楽家

クリスマスが近くなってから、アヴェマリアを聴きたくなってよくかけていた。
アヴェマリアといえば、グノーやシューベルト、カッチーニのものが有名だが
カッチーニの(作とされる)アヴェマリアが群を抜いて好きだ。
作とされる、と書いたが、
本当はこの曲をつくったのはロシアの音楽家ヴラディーミル・フョードロヴィチ・ヴァヴィロフである。

ヴァヴィロフ(Vladimir Fiodorovich Vavilov, 1925年5月5日 – 1973年11月3日)は
ロシアのギタリスト・リュート奏者・作曲家。ソ連における古楽復興の立役者である。
ヴァヴィロフは、自作をきまって昔の作曲家、たいていはルネサンス音楽やバロック音楽の
作曲家のものとした。また、時々それ以後の作曲家になることもあった。
ヴァヴィロフは、名目上の「作曲者」のしかるべき作曲様式にはまるで無頓着であった。
とりわけ有名な偽作に以下の例がある。
「フランチェスコ・ダ・ミラノ作」の《カンツォーナ》(または《黄金の都市》とも)
「アンドレイ・シクラ作」の《マズルカ》
「ミハイル・ヴイソツキー作」の《悲歌》
「ニッコロ・ニグリーノ作」の《リチェルカール》
「バラキレフ作」の《即興曲 "Impromptu" 》(ヴァヴィロフの偽作の中ではかつて最も有名だった)
《カッチーニのアヴェ・マリア》ヴァヴィロフ自身は作者不詳としていたが、
いつの間にかジュリオ・カッチーニ作として定着した。

ヴァヴィロフは窮乏の末に膵臓癌によって亡くなった。

それから数ヵ月後に《黄金の都市のカンツォーナ》が発表されると、一夜にしてヒット作となった。
(wiki)

《カッチーニのアヴェ・マリア》はガランテ、アンドレア・ボチェッリ、スラヴァなどによって歌われているものが有名で、
スラヴァを教えてもらった時はその世界観に驚いた。
歌い手の解釈によって本当に表情をかえるこのアヴェマリア、ドキッとするようなスラヴァも
朴訥な素直さを感じるボチェッリも私はそれぞれに好きで
なによりそれを支えている旋律の深い響きに心をうたれる。





作家自身の名前などのこらなくてもよい、それがいいものなら作品だけがのこってゆけばいいと
その信念をヴァヴィロフは生きたように思えてならない。

by ai-pittura | 2009-12-24 15:38 | 人間


<< なつかしさ      待つ >>