
春子おばあちゃんのこと。
この前、おばあちゃんは線をひくことができなかった。
それははじめてのことだった。体調や眼の調子が原因ではなかった。
なんとか描こうとしても顔はばらばらになった。
どうしてだかわからない、
胸がつかえてどうしても絵を描くところに気持ちがおりてこない
と言ったおばあちゃんの思いつめた顔。
それは本当に素直なことだと私は感じた。
もし違う取り組み方をしていたら絵はできてしまっただろう。
紙の上にただ鉛筆を走らせることができてしまえば。
おばあちゃんはそれができなかった。
その日は、絵を描く手は休めましょうと言った。
そしておばあちゃんの見たいものを聞いた。
絵を通して何をしたいのかゆっくりと話をした。
最後におばあちゃんは、これは年のせいなんてことじゃない、
私の問題です、もっとちゃんとものを見たいと言っていた。
写真はおばあちゃんの以前のスケッチ。眼の練習。いつもこうして何度でも描いている。