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ふりつもる線

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2009年 10月 26日

メモ

この前バスを待っていた時、町を歩いている人々や車、建物がその輪郭を失い
中にあるものが膨らんではみ出したり小さくなったりしていくような感覚に束の間襲われた。
それは普段からもしばしば感じることで、特に人と対している時に誰もが感じるようなことだと思う。
その人に山や炎の風景が見えたり、
あるいはくしゃくしゃに丸まった、吹き飛びそうな紙ほどに小さく感じたりすること。
日本画のなかに「骨描き」といってものの輪郭線を細い筆で追う作業があり、
大学に入った頃、何度かしてみたが私にはどうしても相容れなかった。
骨描きは、読んで字の如く本来ものの骨子を描くものであり、骨描きをすることによって
ものの中心を見事に昇華している日本画家が多くいるし
一本の線にはそういう力があると思う。
ただ、今も私がそうしようと思えない大部分は上記の故で
網膜にうつるもののかたちを頼りにしながらも、そのものの揺るがないところを引き上げるには
どうしたらいいだろうと日々悩む。
自分にとっての絵は「描く」というより引き上げる、立ち上げるという言葉がしっくりくるなあと最近思う。
版画で版全面に強い腐食をかけて犬が闇の中に沈みこんだ時があった。
海底から糸をたぐりながらこちらに引き上げてくるような感覚が忘れられない。
そこに銅という強い抵抗感があったから、よりはっきりした。
今それらを絵で反芻している。
人は何かに気付くことはできる。
でもそれ自体は必ずしも大きなことじゃない。
気付いてそれを実感として、ずっと休み無く考え続けること、
一瞬一瞬を積み重ねることのとてつもない難しさ。

by ai-pittura | 2009-10-26 13:22 |


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