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ふりつもる線

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2009年 10月 06日

化石の犬

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化石の犬_b0080173_11333579.jpg
PHOTO by Akihito & Miyuki Fujii

私は犬の銅版画をつくった。
写真や試し刷りの経過をみると改めて驚く。
はじめの頃、筋骨逞しくオオカミのようだった犬は、
日を追うごとに痩せてゆき骨露になった。
版も限界というくらいぼろぼろになっていった。
そして、最後の最後に明確になったある一瞬は
導火線を伝う火花のように、自分の中にあるあらゆることとつながった。

不思議なことに、私はこの『犬』を毎日ぶっ通しで制作してきたにもかかわらず、
また自分のなかで節目となる作品になったにもかかわらず
どんな作品だったかを具体的に思い出すことができない。
その図像や色は朧げながら浮かぶのだが、
普段、自分の作品を思い出すときのような感触をもって思い起こすことがまるでできない。
それは『犬』が完成したあとも見る時々によって様々なものをうつすからなのだろう。
私がもっと見なければならないものたちが、この中に封じ込められている気がしてならない。
私のところに来てくれた犬。
版画はさながら化石のようでもある。

昨年の秋、neutronの個展でじいじいの連作を終えてからのブログ大体一年分を読み返してみた。
そこには忘れていたこと、捨てたもの、いろんなものが散りばめられていて
気づくこともたくさんあった。
一年、点はゆるやかな線となり私を押してくれていた、その流れと自分の変化を改めて思わずにいられない。
考えて考えて考えつづける時間がまた始まっている。
これから絵の制作に入りながら、ひとりのその時間をしっかりと持ちたい。
ここからはじめてゆく。

by ai-pittura | 2009-10-06 11:32 | 版画


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