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ふりつもる線

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2009年 06月 24日

旅をして具体的に何かを見たり何かを得ることを目的とするのでなく、
自分をほぐし、解体し、身をゆだねるような、そんな旅を、今年したいと思っていた。
実際の旅においても、絵においても生活においても。
自分を決めきらないこと、元旦の手帳にはそんなことを書き込んだ。
絵で少し色を使いはじめてから、今まで一度も選んだことのない色のTシャツを買った自分に驚いた。
まわりの景色が違った感触でざわめきはじめたことも、
町を歩いていて子供にばかり目が向くようになったことも。
そんななか、風景の広がりと裏腹に絵では四苦八苦していた。
でも、すぐに答えや結果がでるはずはなく、また答えを求めたい訳でもなく
とにかく根気強く、静かに遠くを見ることを忘れてはいけない。
毎週、春子おばあちゃんから私は勇気をもらった。
友人のりえさんが以前教えてくれた本、星野博美の『謝謝!チャイニーズ』や『銭湯の女神』もすごくよかった。
星野博美の旅はまさに常温、人肌。
気負いや衒いがなく、美しさや活力だけでもなく、人が背負っているどうしようもないものや暗さ、
そしてわからないことを含め、それが日常の速度で綴られている。
『謝謝!チャイニーズ』ではいろんなことを考えさせられた。
藤原新也の『全東洋街道』が大好きだが、星野博美は全然違った意味で懐が深い。
さてイタリアへの出発もあと1か月後となった。
とにかくその前に個展なので、個展が終わったらしばらく開ける家の大掃除をして、
必要なものを買い出しに行き、トランクにつめて、最低限の調べものをして慌ただしく出発になりそうだ。
今回はどんな人に出会えるのだろうか。
フレスコ画や古い町、なだらかな丘、劇的な空もまたその国の大好きなひとつではあるけれど、
その土地に住み、暮らしている人々から滲み出るイタリアに触れられたら幸せだ。

by ai-pittura | 2009-06-24 14:45 |


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