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カテゴリ:本( 24 )


2015年 04月 19日

本/メモ

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冬から春にかけて制作の傍らにあった(再読も含む)本

○『森と氷河と鯨 ーワタリガラスの伝説を求めてー』 星野道夫 世界文化社
○『長い旅の途上』 星野道夫 文春文庫
○『旅をした人ー星野道夫の生と死』 池澤夏樹 SWITCH PUBLISHING 
○Coyote No.53 『星野道夫のアラスカの暮らし』
○Coyote No.16 『トーテムポールを立てる』
○CoyoteNo.34 『たったひとりのアラスカ』
○『不思議な羅針盤』 梨木香歩 文化出版局
○『アルピニズムと死』 山野井泰史 ヤマケイ文庫
○『魔法としてのことばーアメリカインディアンの口承詩』 金関寿夫訳 思潮社
○『一日一花』川瀬敏郎 新潮社

10代の終わり、星野道夫さんの生き方は
乾いたスポンジに染み込む水のようにこころを潤した。
『旅をする木』を何度も読み、ジュンに初めて贈ったものも星野さんの本だったらしい。
それから時が経っても何年か一度、浴びるように星野道夫の本にまた触れたくなる時がある。
生命について思いを巡らせる時、
鯨が舞い、熊が佇み、何万頭のカリブーが大移動する原野の風景がいつも片隅にあることを感じる。
悠久の風景が果てしなくひろがっていく『森と氷河と鯨』。
それは決して外側の風景だけの話ではない。私たちの内側にも鏡像のように同じひろがりがあるはずだ。

池澤夏樹さんの『旅をした人ー星野道夫の生と死』ははじめて読んだけれど、
このところ描きながら考えていたこととつながる部分が多くあった。
以下、抜粋。

ヒトの視点から見ただけでは、アラスカの自然の全体像は捕らえられない。 中略
生命は個人において(あるいは個体において)完結するものではない。
陸地だけではなく海の中も空も含めて、生物たちみんなが棲んでいる領域の全体が生きているのだ。

これに似た思いが最近ずっとこころにある。



読みたい本
○『百代の過客ー日記にみる日本人』 ドナルド・キーン 金関寿夫訳 朝日新聞社
○『古事記』 池澤夏樹個人編集 河出書房
○『山窩物語』 椋鳩十 理論社
○『杜氏という仕事』 藤田千恵子 新潮社
○『デルス・ウザーラー沿海州探検行』 アルセーニエフ 東洋文庫 
○『極北の動物誌』 ウィリアム・プルーイット
○『海うそ』 梨木香歩 岩波書店
それから須賀敦子全集をもう一度読み直したい。

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by ai-pittura | 2015-04-19 22:59 | | Trackback | Comments(0)
2014年 11月 27日

Richard Avedon

TさんからRichard Avedonの肖像写真集 ”Nothing Personal”を見せてもらう。
めくるページが後ろに近づくにつれて、何かがぐさりと胸の真ん中に刺さっていく。
なんという描写力だろう。
大統領
女優
子ども
老人
ナチスの党員
原爆を投下したパイロット
花嫁と花婿
精神病院の患者
妊婦とそのパートナー

あらゆる立場の、無垢な、そしてくぐもった、時に獣のような顔の人々が克明に写し出されていた。
他者を見ていたはずの目はいつしか自分を見る目となった。
そこにいる人々はどれもが自分の一部にも思える。
そして撮られたそれぞれの人のなかにもすべての人が棲んでいる。

ただまっすぐにものを見る。
彫り込むように
目の前のものを見つめること。
視覚にとらわれるのではなく、
目の前に表出しているものから切り拓いていく。
彫刻家が両手で顔の起伏をたしかめてゆくように。


家に帰ってAvedonのホームページをすこしずつ見る。
肩をぐっとつかまれたように力が湧く。



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by ai-pittura | 2014-11-27 23:02 | | Trackback | Comments(0)
2014年 04月 16日

性悪猫

b0080173_2101350.jpgある方が個展中、猫のドローイングを見て貸して下さったやまだ紫さんの性悪猫
なんと言えばいいのだろう。
なにかを声高に叫ぶのでもなく、特別なドラマがあるでもない。だからこそ
端々からは、ささやかな日常を鋭く見つめるやまだ紫さんの豊かで繊細な感性が感じられる。
ことばがとってもいいのです。それから多くを語らない漫画の間合いが。
神戸から帰る電車のなかでぼろぼろと涙が止まらなくなってしまった。
日々をそれぞれに淡々と生きてゆく。
猫たちのその潔いこと、ささやかなしあわせと諦めと。
諦めるということは、何かを道半ばにやめることではなく
自分いっぴき分の命をしっかり両手で受け入れることではないだろうか。
性悪猫、現在改訂版新編が発売されています。 

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日向

おひさまでぬくぬくした座ぶとんの上で
ねこ一匹   ひなたぼっこです

ひがな一日 それですごします
まぶたなど はんびらきです

みえるものは お日様いっこ
ほかにーーー
おひさまの金粉をまぶした自分のてあし

せけんなど どうでもいいのです
お日様いっこ あれば
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by ai-pittura | 2014-04-16 21:54 | | Trackback | Comments(0)
2013年 12月 19日

読みたい本/メモ

b0080173_22162275.jpg○『山の人生』柳田国男 岩波文庫
○『野草雑記・野鳥雑記』柳田国男 岩波文庫
○『冬虫夏草』梨木香歩 新潮社
○『エストニア紀行: ――森の苔・庭の木漏れ日・海の葦』梨木香歩 新潮社
○『鳥と雲と薬草袋』梨木香歩 新潮社
○『近江山河抄』白州正子 講談社文芸文庫
○『折口信夫全集』中央公論新社
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by ai-pittura | 2013-12-19 22:16 | | Trackback | Comments(0)
2013年 12月 19日

本/メモ

今年読んで(再読も含む)感動した本、考えさせられた本、記憶に残っている本

b0080173_21551139.jpg○『りかさん』梨木香歩 新潮文庫
○『家守奇譚』梨木香歩 新潮文庫
○『渡りの足跡』梨木香歩 新潮文庫
○『水辺にて-on the water/off the water』梨木香歩 筑摩書房
○『サンカーラ:この世の断片をたぐり寄せて』田口ランディ 新潮社
○『ゾーンにて』田口ランディ 文藝春秋 
○『しあわせな日々 カヌー犬ガク写真集』野田知佑 小学館
○『さらば、ガク』野田知佑 文春文庫
○『岳物語』椎名誠 集英社
○『山のパンセ』串田孫一 ヤマケイ文庫
○『となりのツキノワグマ』宮崎学 新樹社
○『死ーdeathー』宮崎学 平凡社
○『森の365日ー宮崎学のフクロウ谷日記』宮崎学 理論社


ガク、きみは本当にいい眼をしているなあ。
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by ai-pittura | 2013-12-19 21:53 | | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 21日

宮崎学さん

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野生動物の生き死にについていろいろ調べていたなかで、
この写真に出会った。(写真は宮崎さんのサイトからお借りしました。)
その時の感覚が、あの入江で感じたものと、あまりに似ていた。

この写真は宮崎学さんという写真家による、
「死」という写真集(一匹の動物の死の後を定点観測している)に収録されているなかの一枚だった。
取り寄せた写真集は、本当にすばらしいものだった。
そこには死が新たな生命となりかわっていく様子がつぶさに記録されており、
種のなかに刻まれているそれぞれの役目と
懐深い、自然の奇跡のようなバランスに、胸がふるえた。

私は、数年前じいじいが亡くなった後に連作を描いていたときのことを
もう一度思い出していた。

以下、宮崎さんの文章です。


死を見つめて


自然界には誕生の数だけ、死もある。毎年生命の誕生が爆発的に繰り返されて、膨大な死も続く。
そして結果的に、死はあらゆる生物の生命を支えている。
そんな自然界の生死にカメラを向けてみると、死を待っている生物がたくさんいることに気づいた。
いわば、他の動物が死んでくれないと生きていけない生物 がいたのである。
これはまさに、「死」を前提として自然界は成り立っているのである。
こうしてみると、死は必要なことに気づく。あらゆる生物が輪廻転生を繰り返すために、
死はなくてはならない。自然界の営みそのものは、こうして存在し続ける。
この当たり前にして大切なことを、今日の私たちは忘れてしまった。
誕生の瞬間ばかりを美しく捉える「花鳥風月」で自然を見るのではなく、
死後の世界も知っていいのではないか。他の生物に食われて自然に形がなくなってい く。
それこそが、自然の生命としてもっとも幸せなことかも知れない。
そして、多くの生き物が、死んだあと妊娠期間とほぼ同じ時間で土に還っていくことがわ かった。
生命体の大家さんである地球から『選ばれた生命』として、
住んでもいいことを許してくれた時間を大切にしながら、僕も生きてみたい。
写真を撮ってみて、僕はつくづくそう感じた。


宮崎 学


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by ai-pittura | 2013-05-21 16:02 | | Trackback | Comments(0)
2012年 05月 11日

本/メモ

春から今までに読んだ本、現在読んでいる本

○『日本のこころ』 岡潔 講談社
○『現な像』 杉本博司 新潮社
○『苔のむすまで』 杉本博司 新潮社
○『ノラや』 内田百聞 中公文庫
○『黒猫のひたい』 雑誌・てんとう虫のなかに書かれていた井坂洋子さんのエッセイ
○『月とさかな』 井坂洋子 河出書房新社
○『ハーケンと夏みかん』 椎名誠 山と渓谷社
○『星と嵐 6つの北壁登行』 ガストン・レビュファ 集英社文庫
○『武満徹 私たちの耳は聞こえているか』 武満徹 日本図書センター

杉本博司さん、まだこの二冊では何とも言えないけれど、疑問符のようなものが残る。
この疑問符が何なのかはっきりとわかっていないけれど、その一部は知識ということについて。

ノラや、は帰って来なくなったノラを思う内田百聞の泣き暮れる毎日の日記の集積で、
それはもうひどい親ばかぶりなのだけれど、なんともあたたかい本だった。

『黒猫のひたい』はりかさんが雑誌を送ってくださって読むことができた。
ひとつひとつの文章にさめざめと泣いた。
かなしいとも嬉しいとも全然違う涙で、真ん中にしみこんでくる文章だった。
私はかつて立ちあった動物たちの死を思い出していた。
彼らは死と生を等価で納得していて、
明日生きることと明日死ぬことはどちらもおなじことのようだった。
生き物との暮らしのなかで、ふとした些細な瞬間、
彼らにとっての生き死にが垣間見えることがある。
それはしずかな湖面のような感じがする、そしてやさしい。


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それから、どちらも山をテーマとしたマンガ
○『岳』 石塚真一 小学館 全15巻
○『孤高の人』 坂本眞一 集英社 全17巻

『岳』は山岳救助を柱とする話、そしてそれぞれの人にとっての山の話。
去年映画化されていた『岳』の原作で、映画のほうは見ていないのだけれど
ほんと素敵な原作だった。
読み終えた後は、アルプスの山のような、
澄み切った何かが吹き抜けていったようだった。
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by ai-pittura | 2012-05-11 17:14 | | Trackback | Comments(0)
2011年 10月 05日

皮膚の内外

b0080173_22382680.jpg田中泯さんの場踊りを目の前で見た一年半ほど前のことを思い出す。
”今”と”ここ”、どんな言葉を発してもその真ん中には刺さらない。
泯さんの本、『僕はずっと裸だった』が出版されたのは
つい最近のこと。
泯さんという人間の一片に触れてみたくて、一晩で一気に読む。
泯さんの言葉だ。それは確かに泯さんの根から出ている言葉で、
もちろんそれは共有する日本語でありながら、
しかしそのままにとらえることは違うのではと感じる。
言葉にならないもの、なってはいけないもののまわりを
注意深く縫うように包む泯さんの言葉は
表面上の隔たりがあったとしても、
泯さんという人をたどる上でとても直接的なものだなあと。
私自身のことを言えば、外側に対する皮膚感覚は強くとも、
皮膚の内側に対する感覚が鈍い。等閑にしてきてしまった。
皮膚の内側の身体について時間をかけて考えてみたい。
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by ai-pittura | 2011-10-05 23:03 | | Trackback | Comments(2)
2010年 10月 28日



窓をあけて雨をみていると
なんにも要らないから
こうしておだやかなきもちでいたいとおもう





雨は土をうるおしてゆく
雨というもののそばにしゃがんで
雨のすることをみていたい                       

                                   「八木重吉詩集」白凰社


冬にむかう雨がふる。八木重吉さんの好きな詩を思い出す。
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by ai-pittura | 2010-10-28 11:56 | | Trackback | Comments(2)
2009年 11月 05日

行間

b0080173_1952645.jpgお布団に入ってすぐに眠ることができない夜は、長田弘の詩集をくりかえし読んでいる。
長田さんの詩は本当に秋の夜長がよく似合う。
いままた改めて、沁みとおるように入ってくる。
長田さんの詩には言葉と言葉の間に空気がある。
ほんとに書きたいことはそこにある。
長田さん、どんな人だろうと想像している。



 言葉/長田弘

悲しみを信じたことがない。
どんなときにも感情は嘘をつく。
正しさをかかげることはきらいだ。
色と匂いを信じる。いつでも
空の色が心の色だと思っている。
黒々と枝をひろげる欅の木、
夕暮れの川面の光り、
真夜中過ぎの月が、好きだ。
単純なものはたくさんの意味をもつ。
いくら短い一日だって、一分ずつ
もし大切に生きれば、永遠より長いだろう。
どこにあるかわからなくても、
あるとちゃんとわかっている魂みたいに、
必要な真実は、けっして
証明できないような真実だ。
人をちがえるのは、ただ一つ
何をうつくしいと感じるか、だ。
こんにちは、と言う。ありがとう、と言う。
結局、人生で言えることはそれだけだ。

一人の言葉は何でできているか?
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by ai-pittura | 2009-11-05 19:10 | | Trackback | Comments(6)