カテゴリ:釣り( 3 )


2015年 07月 03日

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雨の日がつづくと、ふと身体に蘇る感覚。
5月のある日、釣りの師匠Kさんと雨の中釣りに出た。
小降りだった雨粒は少しずつ大きくなり、やがて勢いを増す。
雨がリズミカルにレインウェアを打つ音と振動を感じながら竿を降り続ける。
それはまるでひとつの楽器になったような感覚。
風景に溶け合った1羽の鳥のようなKさんの姿が遠くに見える。

腰まであるゴム長でゆっくり河口を進む。
ゴムの布地を通して、水のかたまりが太腿に寄せてはかえす。
次第に強くなる雨はやがて髪の毛から首をつたい、背中に流れ落ちる。
雨がゆっくりと内部に浸透し、私自身は外側へと流れ出す。
雨と私の境がすこしずつ朧になり、溶けてゆく。
雨になってゆく。

身体にのこった雨の感覚は、家に帰ってからも消えることはなく
夢のなかでも雨中竿をふり続け、
わたしはたくさんの鯰を釣った。

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by ai-pittura | 2015-07-03 22:54 | 釣り | Trackback | Comments(0)
2015年 05月 29日

フライの神秘

釣りの師匠がタイイングを教えてくださることになり、いそいそと出かける。タイイングとはフライを自分で巻くこと。

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これはKさんがカスタムされたバイスキット!
虫眼鏡の奥にあるものがバイス(釣り針を固定する台座のこと)。
なんでも自作されるKさんらしく、使い勝手がよく、折り畳み機能にライトまでついている。
このバイスに釣り針を固定して、糸や様々なマテリアルを使って虫を模した毛鉤をつくっていくのだ。
釣り針は小さいものだと5mm程度なので虫眼鏡は必須。

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もうこれが、やりはじめると面白いのなんの。
フライマテリアルはナイロンや真鍮の糸、綿などから、動物の毛や羽根までなんでも使う。
色とりどりのあらゆる鳥の羽根(羽根の場所によってもちろん機能も違う)、エルクや鹿、兎、シロクマの毛など
細かく仕分けされているKさんのマテリアルコレクションは、博物誌そのものだった。

フライタイイングはとにかく細かく、羽根が途中で切れたり、眼がチカチカしたりと
まだまだ侭ならない。
けれど、あらゆる動物の毛に触れ、特性を知りながら虫を模すということは想像以上に神秘的で、
儀式めいた特別な魅力があるようにも感じた。
人間以外の生きものたちのことを実感として知ってゆくこと、
それは自分の小ささを感じる時間でもあり、
私たちのまわりに煌めく波紋のようなひろがりに眼を閉じる時間でもあって。

熱中していると辺りは少しずつ青に沈み、夜の帳がしずかに下りていた。

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師匠作 うーん!美しい!
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私作 ハックル(フライを水面に浮かせるための羽毛。虫のえりまきのように見える部分)が少ない。まだまだですね。



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by ai-pittura | 2015-05-29 21:00 | 釣り | Trackback | Comments(2)
2015年 05月 21日

Fly Fishing

山でキャンプをするようになり、食べ物(山菜や動物性タンパク質)も現地調達できれば
どんなにいいだろうと思っていた頃、
わこちゃんのお父さんの釣りに同行する機会があった。
初めて見たフライフィッシング。

フライフィッシングは生き餌をつけず、毛鉤であるフライを使う釣のこと。
使うフライはカゲロウや蟻、トビケラなど魚の餌になるいろんな虫を模したもので、
釣りたい魚やその季節、その場所にいる虫によってフライを選ぶ。
つまりそれは場の生態系を知ること、
そして、虫を捕食する魚のきもちを考えることなんじゃないだろうか、
わこちゃんのお父さんの言葉の端々からそんなことを感じたとき
急速にフライフィッシングへ興味が傾いていった。
魚(対象)のことだけではなくて、魚の住む世界全体を意識する時間・・・。

シュッシュッシュッシュッ、空を舞うラインの小気味よい音、
そして八の字のループのうつくしさ、
頬をなでる風、
湧き立つようなカゲロウの大群の神秘、
何よりもキラキラと光る川の瀬を歩く心地よさ、
それだけでもなんて素敵なことなんだろう。

しかし、フライのロッドを探しはじめてみたものの、
ずらりと並ぶ番号や、飛び交う訳のわからない釣用語を解読できず、
中古ロッドを見に行っても、何を基準にして選んでいいのやらサッパリわからない日がつづいた。
ようやく番手と長さ、大体のメーカーを絞り、いざ買わんとしていた頃、
ふと照明作家のKさんの家に立ち寄らせていただいた時、奥からごそごそと
これよかったら
と出してきてくださったのがこのロッドとリールだった。


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見ているだけで胸が高鳴ってくる、うつくしいタクトのようなロッド。大事に、大事にします。

そう、そうして いよいよ フライフィッシングを始めることになった。


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釣の師匠KさんとYさん。ヤンチャ犬ハルと。琵琶湖にて特訓の日。
ラインの重さの変化がはじめて実感できた。
竿を振る心地よさ、練習がたまらなく面白い。無心になる。
この日、O池にてはじめてFFでブルーギルを釣った。

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釣の師匠わこちゃんとI川。湖や池とは違う川幅の狭さ(なんと竿の振りにくいこと!)や情報量に圧倒され、基本がブレブレになる。
釣ろうとしたら釣れへんよ。わこちゃんの言葉が胸にのこる。
竿のしなりとラインを感じる、川の場を感じる、そのことだけでよかったのだ。
モチーフを描こうとすればするほど遠ざかる、痛いほどわかっているはずのことが
釣りになるとまるでできていなかった。
川で魚を釣ってみたい、そんな我ばかりが前のめりになっていた。
毛鉤を4つも無くす。戒めの日。

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by ai-pittura | 2015-05-21 23:31 | 釣り | Trackback | Comments(2)