ふと声が聞きたくなって久高島に電話した。
ここから約6時間の隔たりを越え、
久高の景色がうねりながら細い電波の線をつたって
眼前に飛び込んできた。
三線のじじい、脳梗塞で倒れよったけどいま病院で
リハビリして元気にしとるよ。
それ以外はなんも変わっとらんよ。
古波のおじいからあんたに電話するように言うとくよ。
ほんであんたいつ来るね?
胸が熱くなる。
ここには逞しく、雄大で、しかし小さなことで腹を立て
すぐ人のことに首をつっこみ、意地を張り、酒と共に泣き笑い
そしてその土地に誇りを持って生きる男達女達がいる。