いつも考える訳ではないが、痛みの捉え方には無意識に敏感になる。
動物が好きだけど、死んだ時つらいから飼うのは嫌だという話をたまに聞く。
痛みを回避するということは、得ることを放棄することでもあるだろう。
痛みを伴うから、何かが本当に残るのかもしれない。
痛みが何かをつくることもある。
10代の最初、あの時期がなければ今の私は無いともいえる。
それまで天真爛漫に育ってきた女の子は突然標的になり、奈落の底に突き落とされた。
たった10才の子供の中にも潜む悪、無邪気であるが故の残酷さや集団の刃。
私は自分を無価値だと思うようになり、感情を失い、拗けた。
月日が経ち、下劣な教師にもその経験にも本当に感謝できるようになった。
痛みは苦しいことやしんどいことの中にだけある訳でもない。
絵や本、風景、人のことばや生き方、楽しさや感動、
そこに真ん中をえぐるような痛みが同居していた時、それは本物だと思う。
そういうものを糧にしたい。