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ふりつもる線

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2014年 12月 06日

チコバン

あたたかだった11月30日を最後に、季節は鋭角に冬へと降下した。
秋は親しかった者との別れもあった。

コバン、最期はお隣の畑の積み藁の上から何日も動かず、そのまま旅立ったとのこと。
いつも渋くて格好よかった。
気配の鋭さが消えてもどこか貫禄があった。
いい加減な風来坊のふりをして、仔猫たちの面倒をよく見ていたのは知っている。
そして、チャーミングだった。

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コバンと仔猫たち(姿を見なくなった数日前)

チコ、知っているだけでも6回くらい仔猫を産んでいた。
めめの母親。
生きるために強かだった。
食べられるものはなんでも食べたし、民家からいろんなものを盗んだ。
晩年、何か憑ものが落ちたように眼がやさしくなったのはなぜだろう。
背をまるめた姿は人間のおばあさんのように見えた。
急に老け込んだねと言っていた頃、少しずつ姿を見せなくなり、もう会えなくなるとは。
チコを思い出すとき、いつも生きることの凄みを思う。

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チコ、最後に産んだ子どもたちと(2014年夏)


コバンが旅立ってしばらくして、チコも姿を消した。
2匹はいつも一緒だったから、むこうでもきっと一緒にいるね。
さようなら、 またいつか。


by ai-pittura | 2014-12-06 21:44 | 仰木の暮らし


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