人気ブログランキング | 話題のタグを見る

ふりつもる線

aipittura.exblog.jp
ブログトップ
2009年 11月 13日

ありがとう

アメイジング・ツリー/長田弘

大きな樹があった。樹は、
雨の子どもだ。父は日光だった。
樹は、葉をつけ、花をつけ、実をつけた。
樹上には空が、樹下には静かな影があった。
樹は、話すことができた。話せるのは
沈黙のことばだ。そのことばは、
太い幹と、春秋でできていて、
無数の小枝と、星霜でできていた。
樹はどこへもゆかない。どんな時代も
そこにいる。そこに樹があれば、そこに
水があり、笑い声と、あたたかな闇がある。
突風が走ってきて、去っていった。
綿雲がちかづいてきて、去っていった。
夕日が樹に、矢のように突き刺さった。
鳥たちがかえってくると、夜が深くなった。
そして朝、一日が永遠のようにはじまるのだ。
象と水牛がやってきて、去っていった。
悲しい人たちがやってきて、去っていった。
この世で、人はほんの短い時間を、
土の上で過ごすだけにすぎない。
仕事をして、愛して、眠って、
ひょいと、ある日、姿を消すのだ。
人は、おおきな樹のなかに。



大好きな詩。
11月10日、父方の祖母、きくよおばあちゃんがこの世を去った。
100歳まで生きてくれての大往生だった。
一世紀、本当におつかれさまでした。
とてもやさしい人。
笑顔がかわいくて、卓球が好きで、野球観戦が大好きで、
年をとっても麻雀の役や点数計算は忘れずにちゃっと牌を積んでしゃきしゃき打つ。
おばあちゃんと卓球勝負したことなかったけど
好きなものは見事に受け継いでるなあ。

by ai-pittura | 2009-11-13 21:58 | 人間


<< 年末のグループ展2つ      デイキャンプ >>